Residence | 07.01
S_house
2007年1月1日
30代の夫婦に子供が一人、今後家族が増えることも視野に入れた住宅の計画である。
まず、家族にとって住宅として必要な機能を拾い出し、プライバシーの観点から、しっかりと囲う必要のある空間だけを“ヘヤ”としてプロテクトする。それ を機能毎に、最も適する環境に配置する。その“ヘヤ”同士の隙間を媒介するように、その他の、囲いを必要としない機能を“余白”として配置する。中空に “ヘヤ”を適材適所で放り出し、その隙間に“ヘヤ”を取り巻く環境としての、開放的な“余白”が介在するようなイメージだ。
“余白”は、具体的な機能としては、東西それぞれの道路をつなぐ、敷地内通路のようなアプローチ、アプローチに対して直角な、南北方向に延びるホール、 その他、入り組んだ路地のようなベランダがあげられるが、いずれもこの住宅を形成する重要な媒介者である。入り組んだベランダによる複雑な平面は、自由で ある反面、構造的な不安定を感ずるが、外側を取り巻く外皮が入れ子の状態で内側の構造的な強度を担保しているので、構造的にも非常に安定している。
一見無駄に見える開放的な“余白”を、“ヘヤ”の隙間に介在させる提案を受け入れてくれたクライアントの深い理解あってこそ実現可能な計画である。