Residence | 16.12
大通りに近接しながらも閑静な雰囲気の住宅街は、「坂道を上がる」という行為により大通りとの間に目に見えない心理的境界が存在しているようである。
玄関に立つと階段の先からおぼろげな光を感じる。
まるで美術館の順路のように光の方向へ階段を上っていくと、何か待ち構えているような心の高揚感が生まれる。
その先には眼下に広がる越後平野。
傾斜地という特性を最大限生かし、人目を気にせず、晴れた日には遠景に越後山脈が見渡せる程の風景を取り込んだ。
リビングでソファーに座り意識を外に向けると、軒と床、列柱に囲まれた風景はまるで一枚の絵画が連続して並んでいるようだ。
閑静な住宅街の中で、建主だけの安らぎの空間が生まれた。