回遊できる家

Residence | 16.08

前面道路は抜け道のために交通量が多いが、その向こうには田んぼの緑が広がる見晴らしのいい敷地である。家族4人が暮らすこの家は、生活リズムが違う夫婦のために落ち着いて過ごせる空間であることが求められた。
リビングの配置と窓の配置、お互いの関係は切れないものであり、相互に効果を及ぼして気持ちのいい空間が生まれている。
窓と言っても通風、採光と言った単純な環境制御装置というわけではなくその大きさや形で心理的にも働きかける。
横長の窓では景色が横に広がり、映画のような効果を。
縦長の窓は景色に奥行きができて絵画のような効果が感じられる。
道路に面した窓はプライバシーを確保するために大きさを制限しているが、窓の種類を組み合わせ、建物の角で合わせることにより空への視線の抜けが窓の大きさ以上に感じられる。南側の窓は人目に付きにくいデッキテラスに面しており、大きく開口をとり光がふんだんに入るように配置している。
リビングは中心に階段を配し、L字型の家族が並んで調理できるキッチンが囲んでいる。ぐるりと回遊できるリビングはそこでの行動の制限をなくし、思い思いの使い方をその時々で変えていくことができる。
四角い壁で囲われた場所に窓を適切に配置し、行動を制限しない回遊できるリビングにすることで家族が自由に使え、落ち着いて過ごすことのできる空間が生まれた。

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