大通りから中へ入った閑静な住宅街。角地であるその土地は、北側の道路によって敷地を斜めに切断された三角の敷地。
北側と東側に道路を有し、南側にはアパートとその駐車場、西側には近接して隣家が建っている。
新築当時は1階リビングが主流だった時代。
太陽の光を一番取り入れることのできる東側の1階にLDKが配置される設計が多かった。
しかし、変形地に建つこの建物は、車の出し入れの関係上、1階の東側に車庫を配置することを余儀なくされたのだと考えられる。
当時の設計者は〝地形の特徴・太陽の動き・周辺の環境″などを読み取り、住み手が一番心地よく感じることのできる、最善の提案として、スキップフロアのLDKを提案したのだろう。
1階部分と車庫、二階のフロアの高さのズレを利用した設計。
当時の時代背景を考えると、かなり斬新な提案であったと考えられるが、結果的に、東側からの太陽の光をリビングに取り入れることができる建物となった。
新築当時の住み手は、若き日のおじいちゃん、おばあちゃん、息子さん2人の一世帯家族だった。時が経ち、現在はご両親夫婦と息子さん夫婦、お孫さんとの二世帯の家族となっている。一世帯用の建物では手狭になったことや、周辺環境の変化によって生活がしづらくなったことなどから、今回、依頼を決断したのだという。
設計者は、既存建物のポテンシャルの高さや、依頼内容を踏まえた上で、リノベーションという選択肢を依頼主に提案した。
既存建物のよい部分を生かしつつ、新築当時から変化してしまった周辺環境に合わせた建物にすること。これから30年後も家族みんなで快適に、安心して暮らすことのできる建物にすることが、今回の課題である。
既存建物が持つ、本来のポテンシャルを最大限に生かしながら、課題を克服する為、築20年の建物が主人公の〝リノベーションプロジェクト″が始まった。
◇今回のプロジェクトは、国の補助金制度の要件としてあげられている1インスペクション等の要件を満たしており、
2平成28年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助として、100万円の補助金の交付を受けています。
※1. 住宅に精通した住宅診断士が、住宅の劣化状況、欠陥の有無、改修すべき箇所等の現状を調査すること。
※2. 住宅・建築物の省エネ化や既存住宅の長寿命化を推進するために、国が既存住宅の長期優良化リフォームを支援する事業。
補助金の額は工事内容によって異なります。